―――迷惑系YouTuberから政治家へ。”令和最大の衝撃人事”を徹底解剖―――
結論
かつて日本中を騒がせた「迷惑系YouTuber」へずまりゅう氏が、2025年7月20日、奈良市議会議員選挙で3位当選という驚異的な結果を収めた。この現象は単なる「有名人の政界進出」ではない。「過去の罪を背負いながらも、地道な活動で信頼を積み重ね、社会復帰を果たした」現代版リベンジストーリーとして読み解くべき事象だ。
【序章】2025年7月20日、日本政治史に残る”異変”が起きた
まず、この衝撃の事実を整理しよう。元「迷惑系YouTuber」のへずまりゅう氏が、2025年7月20日投開票の奈良市議会議員選挙で初当選を果たしたのだ。
得票数は8,320票。なんと全候補者中3位という圧倒的な支持を集めた結果である。定数39に対し55人が立候補した選挙で、全体で3番目に多い8320票を獲得して当選した。この数字が示すのは、単なる「話題性での票集め」を遥かに超えた、有権者からの明確な信任だった。
ネット上では「世も末だ」「奈良が終わる」といった批判的な声が飛び交う一方で、当の本人は「『奈良が終わる』とか『奈良の人やばい』などコメントがありますが自分は奈良の有権者の皆様に選ばれた人間です。もう既に奈良を良くする為に動き始めています。誰よりも行動力で示します」と、堂々と反論している。
では、この現象は一体何を意味するのか? それを解明するため、へずまりゅう氏という人物の「過去」「現在」「未来」を順を追って深掘りしていこう。
暗黒時代―”迷惑系YouTuber”という汚名の軌跡
原田将大(本名)という人間の始まり
へずまりゅう(本名:原田将大)とは、徳山大に侵入してレスリングシューズを窃盗した為2017年に逮捕された犯罪者である。この衝撃的な事実から、彼の問題行動は始まっていた。
彼は1991年5月9日生まれの山口県防府市出身。意外にも大学時代はレスリング部に所属し、スポーツ推薦で徳山大学経済学部ビジネス戦略学科に進学している。身長181cm、体重130kg、BMIは40という大柄な体格を持っているという身体的特徴も、後の「迷惑系」活動における「威圧的な存在感」の源泉となったのかもしれない。
YouTuber活動の始まりとエスカレート
本人は、過激路線に走るまでは、食べる系、心霊スポット巡り、モノ申す系動画、歌ってみた動画、企画動画など一通りチャレンジしたが思うように再生数が取れず、前述した元交際相手の女性や地元に残してきた友人たちに示しがつかないという焦りから、狂人という側面を強調した「へずまりゅう」という設定で活動せざるを得なかったと振り返っている。
つまり、**「迷惑系」は彼にとって本来の姿ではなく、再生数への焦りが生み出した「キャラクター」**だったのだ。これは、現代のSNS社会が抱える「承認欲求の歪み」を象徴する事例とも言える。
逮捕歴と問題行動の数々
彼の「迷惑行為」は枚挙に暇がない。主なものを時系列で整理すると:
2020年5月:大阪にあるアメリカ村でへずまりゅうさんとわたきんさんがアパレル店を訪れる。そのお店で購入した有名ブランドのTシャツが「偽物でしょ」と言いがかりをつけ返品を強要する動画を撮影しyoutubeに投稿する。威力業務妨害で二人は逮捕、大阪地検に起訴されニュースになる
2020年6月:へずまりゅうがシバターの自宅周辺にて彼とその妻子をアポなしで直撃。これに激怒したシバターはへずまりゅうと激しい取っ組み合いに発展。その合間にへずまりゅう側のカメラマンが、逃げる妻子をしつこく追跡するなど大きな騒動となった
2020年7月:へずまりゅうは会計前の魚の切り身を店内で食べ、空となった容器をレジに持っていき、「すいません食べてしまいました。腹減ってて」と会計を行う動画を撮影。「店の商品、会計前に食ってやったぜー」というタイトルで投稿していた
最終的に、2021年8月27日、”迷惑系YouTuber”の「へずまりゅう」こと原田将大被告(30)に対し、懲役1年6カ月、執行猶予4年の有罪判決が言い渡された。
新型コロナウイルス感染という更なる騒動
問題は犯罪行為だけにとどまらなかった。逮捕後に新型コロナウイルスに感染していることがわかり、大きな問題となった。また、逮捕後にコロナへの感染が確認されたのだ。さらに悪質だったのは、配信した動画の中で激しく咳き込みながら「……コロナ」と呟くなど、自身の症状を自覚しながら県内を歩き回ったとも受け取れる疑惑が浮上したことだ。
この件で山口県知事まで動く事態となり、村岡嗣政山口県知事も「なんてことをしてくれるんだ」と怒りを露わにするほどだった。
転換点―何が「迷惑系」を変えたのか?
結婚という人生の大きな変化
2022年、へずまりゅう氏の人生に大きな転機が訪れる。愛媛県出身の投資家「しーちゃん」との出会いと結婚だ。
2人の出会いは、2021年年末になります。嫁さんのしいちゃんさんはユーチューブでへずまりゅうさんの存在を知り、「結構コメントとか面白い人だな」と思って、ファンになったそうです。2021年年末にへずまりゅうさんが路上生活をされてる所に会いに行って、実際に会うと、優しく、ネットなど自分の仕事に対して、真面目な姿勢がみられて、惹かれたそうです。
注目すべきは、しーちゃん氏の経済力だ。なぜなら、へずまりゅうホスト時代に800〜900万円を貢いだことがあるからです。過去に青汁王子との対談動画でも「貯金は億いかないくらい」とコメントもしていましたというから、相当な資産家であることがわかる。
2023年7月、都内某所の式場で報道陣や有名なインフルエンサーを呼んで盛大に嫁の「しーちゃん」と結婚式を挙げた。この結婚式で、へずまりゅう氏は重要な宣言をしている:「しーちゃんもこれからは露出はあんまりさせたくない。俺、子供を産むっていうのはもう決めとってで、名前を『ワールド』にしたい!”世界”という意味で!」
奈良公園での鹿保護活動―真の「更生」の始まり
2024年7月、へずまりゅう氏の人生を決定づける事件が起きる。「昨年7月、外国人とみられる人がシカを蹴る動画が海外も含め拡散された。もともと動物が好きで、いてもたってもいられず、東京から奈良公園に通ったが、かなり被害に遭っていた。交通費も宿泊費もかかるため、今年1月、奈良に引っ越した」
この活動が本格的になると、彼の姿勢は大きく変わった。「他の仕事との兼ね合いで、月に25日くらい、朝から夕方まで奈良公園をパトロールしている。公園は東京ドーム140個分の広さがあり、『いま、シカさんが外国人に蹴られました』と連絡を受けては、駆け付けて注意している」
ここで重要なのは、この活動が完全にボランティアベースだったということだ。へずま氏はこれまで約1年間、寄付金を受け取らずに奈良公園で独自のパトロール活動を続けておりという事実は、彼の動機が単なる売名行為ではないことを示している。
政治への挑戦―なぜ奈良市議を目指したのか?
「選挙目的で最初、(奈良に)来たわけではない」と強調した。「奈良公園の鹿さんが攻撃される…外国人に殴られる蹴られるっていうのを何度もお聞きして動画を撮って、XとかSNSで上げているんですけど、管轄の県議会議員が動いてくれなかった。自分が議員になって誰よりも行動して、動いていけば皆さんにもっともっと信用してもらえるんじゃないかと思い、今回の立候補をさせてもらいました」
つまり、既存の政治システムでは解決できない問題を、自ら議員になることで解決しようとしたのだ。これは極めて建設的な動機と言える。
真実か虚偽か?「能登半島地震ボランティア」の謎
改心を印象づけた「美談」の登場
2024年1月1日の能登半島地震発生後、へずまりゅう氏は被災地でのボランティア活動を開始したと報告していた。へずまりゅうは元日の地震発生直後、Xに水とトイレットペーパーとの自撮り写真を投稿し、被災地支援を表明。1月3日には崩れた建物を背景とした自撮り写真をアップし、石川県に到着したことを報告すると、その後は味噌ラーメンを炊き出しとして振る舞う様子を投稿していた。
そして、「なぜ今まで人に迷惑を掛けてきたのか?自分は間違っていました。これからの人生は人に喜ばれるような活動をしていきます」と改心を表明していた。
衝撃の告白―すべてが虚偽だった?
しかし、2024年7月11日、へずまりゅう氏は衝撃的な告白をする。へずまりゅうはXで「今まで一度として石川ボランティアに行ったことがありません。全てグリーンバックで編集していました」と突然の告白。「罪悪感があって苦しくて何度も消えたくなりました。もう限界がきてしまいました。ごめんなさい」と謝罪した。
この告白に対し、妻の「へずま嫁」は「嘘言わん方がいいよ。コロナの私のもっと熱あげる気か」と反応。さらに「てか、釣りだよね?釣りって言って?」と困惑を見せている。
この「告白」をどう読むべきか?
興味深いのは、ただ、これまで何度もウソとはったりの発信を繰り返してきたため、今回の投稿もどこまでが事実なのか不明という指摘だ。つまり、「虚偽の告白」すら疑われているのが現状である。
この事例は、へずまりゅう氏という人物の複雑さを象徴している。彼の発言や行動には常に「真実」と「演出」の境界が曖昧で、それが彼に対する評価を困難にしている側面がある。
当選の真相―なぜ奈良市民は彼を選んだのか?
3つの成功要因
ネットメディア研究家の城戸譲さんは「2021年、23年の選挙では『泡沫候補』扱いであり、惨敗だった。今回は3つの要素がへずま氏にプラスに働いた」と分析している。
①圧倒的な知名度という武器 地方選挙の最大の課題は「有権者に名前を覚えてもらうこと」だ。へずまりゅう氏は既にこのハードルを軽々とクリアしていた。
②具体的で目に見える活動実績 選挙戦前のへずまりゅう氏は奈良公園のシカを守るパトロール活動などに力を入れていた。これは1年間継続した地道な実績である。
③既存政治への不満の受け皿 従来の政党政治やメディアの枠組みでは捉えきれない、新たな有権者層の存在と、彼らの「不満」が具体的な投票行動に結びつく時代が到来したことを示しています。
政策面での訴求力
選挙戦では大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設反対や、奈良公園へのごみ箱や防犯カメラの設置を訴えた。これらは地域住民にとって切実な問題であり、「外国人から鹿さんと市民を守る!」というスローガンも、観光公害に悩む奈良市民の心に響いたと考えられる。
SNSを駆使した新しい選挙戦略
彼は、政治団体や支援者組織票に頼ることなく、自身のSNSを主戦場に、ゲリラ的な街頭演説を展開。若者を中心に爆発的な拡散力を持つX投稿やTikTokライブを駆使し、奈良の観光地でパフォーマンスを行うなど、まさに**「へずま流」**を貫きました。
家族という「錨」―しーちゃんとの結婚が与えた影響
投資家妻の支え
へずまりゅう氏の変化を語る上で、妻・しーちゃん氏の存在は無視できない。しーちゃんは投資家ですが、ネットでは「女性起業家」と言われています。経済的に安定した妻の存在が、彼に「承認欲求のためのパフォーマンス」から脱却する余裕を与えたのかもしれない。
「へずまりゅうの活動を続けてきたからこそ、しーちゃんと出会うことができた」と言い、結婚式の参列者に再び感謝。「炎上して友達がおらんくなったけど、見てもらったらわかるように昔の友達は誰一人来てねぇ」と炎上後の変化を口にし、「悲しいけど、過去には戻ることができないし、今の出会いも素敵だからそれを大切にしていこう」と涙ながらに語った。
子供への言及が示す責任感
「俺、子供を産むっていうのはもう決めとってで」という発言からは、彼の中に「父親になる」という責任感が芽生えていることがうかがえる。これは、過去の無責任な行動とは大きく異なる心境の変化を示している。
批判と擁護―分裂する世論
厳しい批判の声
元「迷惑系YouTuber」のへずまりゅう氏が2025年7月20日投開票の奈良市議会議員選で初当選したことを受け過去に因縁のあるチャンネル登録者数115万人のYouTuber・シバター氏が「残念というか、本当、人間ってバカで奈良市民もバカで」などと嘆いた。
一方で、「中国人本当に無理」「こんな連中を安易に日本に入れるべきでは無い」など、ヘイトスピーチのような反応もあるという指摘もあり、彼の活動が時としてヘイト的な方向に向かうリスクも指摘されている。
支持の声と期待
しかし、「奈良の人たちに行動で証明できるなら応援してる 当選はゴールじゃなくてスタートだからな」「積み上げたデータや根拠で政策論議でしっかりと戦ってください。最初は誰もが素人です ここから何をするかだと思います」など、応援の声も複数寄せられている。
現在進行形の物語―当選後の動向
議員としての早速の「効果」
当選後、へずまりゅう氏は早速その影響力を発揮している。「朗報」と前置きした上で「へずまりゅうが奈良市議会議員に当選したことで中国人が日本へ旅行に来ない運動を始めるみたいです。この話が本当なら大功績を残せそうです」と投稿。この投稿は23日午前11時過ぎにポストされ、1日以上経過した24日午後3時時点で約2700万回表示されているという驚異的な拡散力を見せている。
継続する鹿保護活動
今回の投稿でも、驚くべき行為が明かされた。へずま氏は「【拡散希望】鹿さんにコーラを飲ませながらゲラゲラ笑う中国人の子供を許しません。こいつは善意の気持ちではなく悪意で無理やり飲ませました。コーラは没収しバス会社と親に『ルールが守れないなら二度と日本に来るな』と注意しておきました」とつづっている。
議員当選後も、彼の基本的な活動スタンスは変わっていないことがわかる。
【結論】へずまりゅう現象が示す現代社会の「希望」と「課題」
現代版「罪と罰」の物語
へずまりゅう氏の軌跡は、ドストエフスキーの『罪と罰』を現代版にアップデートしたような物語性を持っている。重大な罪を犯した人間が、真の贖罪を通じて社会復帰を果たす―これは、厳罰主義が支配的な現代において、極めて稀有な成功例と言えるだろう。
SNS時代の新しい政治参加の形
組織票も、潤沢な資金もない無所属候補が、SNSと個人の魅力、そして特定の社会問題への切り込みだけで、組織政党の存在感を凌駕する結果を出した。これは、日本の政治における**「個の力」の可能性を示した出来事**と言えるでしょう。
既存の政治システムが機能不全を起こす中、個人の発信力と行動力だけで政治を変えようとする新しいムーブメントの先駆けとして、へずまりゅう現象は位置づけられる。
更生への道のりが示すもの
彼の事例で最も重要なのは、「人は変われる」という希望を社会に示したことだ。ただし、能登半島地震ボランティアの虚偽告白事例が示すように、その道のりは決して平坦ではない。真実と虚偽、真の改心と演出の境界線は常に曖昧で、社会復帰には長い時間と継続的な努力が必要であることも明らかになった。
奈良市政への影響と今後の展望
へずまりゅう氏が今後、議員として実際にどのような成果を上げるかが、この「実験」の真価を決める。「誰よりも行動力で示します」という宣言通り、彼には具体的な政策実現が求められている。
特に、奈良公園の観光公害対策、外国人観光客のマナー向上、メガソーラー建設問題など、選挙で訴えた政策の実現度が注目される。
最後に―この現象から学ぶべきこと
へずまりゅう現象は、現代日本社会が抱える多くの課題を浮き彫りにしている:
- 既存政治への不信と新しいリーダーシップへの渇望
- SNS時代における影響力の新しい形
- 観光公害という地方自治体の切実な問題
- 個人の更生と社会復帰の可能性
彼の今後の活動が、これらの課題にどのような答えを示すかが、この物語の続きを決める。そして、それは私たち社会全体にとっても、「変化」と「希望」について考える重要な機会になるはずだ。
少なくとも確実に言えることは、2025年7月20日という日付が、日本の地方政治史において特別な意味を持つ日として記録されるだろうということである。
この記事は2025年7月29日時点の公開情報をもとに作成されています。へずまりゅう氏の今後の活動については、引き続き注視していく必要があります。