細木数子という人物を理解する上で、避けて通ることができないのが「男性関係」である。占い師として「男女関係」を次々と的中させることで有名だった彼女だが、皮肉にも、その自分の人生は、複数の男性との関係で彩られていた。
では、細木数子はこれまでに、どのような男性と関係を持ち、どのような影響を受けてきたのか。その全体像を把握することは、細木という「女性」の実像に迫ることになるだろう。
銀座時代の男性たち
細木数子が高校を中退して銀座に出た1950年代後半から1960年代にかけて、彼女を支えた(あるいは彼女が支配した)男性たちがいた。
まず、細木が最初に働いたキャバレーやホステスクラブでは、「太客」と呼ばれる大金を落とす男性客たちがいた。細木は、その太客たちを巧妙に操作し、自らの事業拡大に利用していった。
当時の銀座で活躍していた女性たちの証言によれば、細木は「他のホステスとは違う」「圧倒的な支配力を持つ女」として認識されていたという。つまり、細木は、客に対して「好かれる」のではなく、「支配する」ことで、金を獲得していたのだ。
その時代の細木にとって、男性とは「金を供給する存在」であり、同時に「支配すべき対象」だったと言える。恋愛感情は、その計算の中では、二次的な存在だったのだ。
落合元:支える者
前の記事でも述べた「落合元」は、この時期の細木の人生において、もっとも重要な男性だったと推測される。
落合がキャバレーのオーナーであったなら、彼は細木に対して、以下のようなサポートをしたと考えられる:
- 銀座での営業地の確保
- 金銭的な援助
- テレビ業界への人脈提供
- 占い師への転身時の資金提供
つまり、落合元は「愛する者」というより「利用する者」であり、同時に「依存する者」だったのだ。細木の人生において、もっとも複雑な関係性を持つ男性だったと言えるだろう。
堀田雅也:支配する者
一方、堀田雅也という江戸川一家の総長というキャラクターで表現される人物は、細木にとって「支配する対象」だったと推測される。
暴力団の幹部という立場にありながら、一人の女性に支配される。それは、堀田にとって「屈辱」であると同時に、「快感」でもあったのだろう。
細木は、堀田に対して「愛情」を示すことで、堀田をより深く支配していった。その支配を通じて、細木は暴力団との関係を强化し、銀座での自らの立場をさらに堅固にしていったのだ。
占い師時代の男性関係の転換
1980年代、細木数子がテレビの顔として、全国的に有名になると、彼女の周囲の男性関係は質的に変わっていった。
銀座の「実業家」や「暴力団幹部」から、テレビプロデューサー、芸能界の有力者、政治家など、より高い社会的地位を持つ男性たちとの関係へとシフトしていったのだ。
占い師時代の細木の男性との関係の特徴
• 相手の男性は、より高い社会的地位を持つようになった
• しかし、細木の「支配」の傾向は変わらなかった
• むしろ、より多くの男性が、細木に「支配」されるようになった
• テレビという「メディア」を通じた支配が、新たな形式として加わった
結婚という選択肢を拒否した理由
注目すべきは、細木数子が「結婚しなかった」ということだ。
銀座の女王として君臨し、占い師として全国的に有名になった細木であれば、結婚のチャンスは何度もあったはずだ。しかし、彼女は結婚を選ばなかった。
その理由は、以下のように推測できる:
- 自由の維持:結婚することで、自らの行動の自由が奪われることを拒否した
- 支配の維持:男性を支配する立場を失うことを恐れた
- 経済的独立:結婚によって、経済的に男性に依存することを避けた
- 心理的な理由:細木の幼少期の経験が、彼女に「結婚の恐怖」を植え付けていた可能性
つまり、細木にとって「結婚」は、自らの支配体制を崩壊させるリスクを持つものだったのだ。
島倉千代子との関係と「16億円借金問題」
細木数子の男性関係とは別に、もう一つの重要な人間関係がある。それが、昭和の大歌手・島倉千代子との関係だ。
細木が占い師として有名になった1980年代、島倉千代子という大物歌手が、細木に「多額の金銭」を託していたと報道されている。その額は、16億円に上るとも言われている。
この「16億円借金問題」は、細木数子が「テレビから消えた」大きな理由の一つではないか、と推測される。
島倉が大金を細木に託した理由は、恐らく以下の通りだ:
細木が「占い」を通じて、島倉に対して「投資」や「事業」などのアドバイスをした。島倉は、その「占い的アドバイス」を信じて、大金を細木に預けた。あるいは、細木が直接、島倉から金銭を借用した可能性も考えられる。
この「16億円借金問題」が、最終的に細木数子のテレビでの活動に、大きな影響を与えたと考えられる。
男性と女性、支配と被支配の逆転
細木数子の人生を通観すると、以下のパターンが見える:
銀座時代:細木は、男性客や男性経営者から金を奪う側だった。つまり、支配する側だった。
占い師時代:細木は、テレビという「メディア」を通じて、全国の男女を支配した。しかし、同時に、島倉千代子という女性から、逆に「支配」された(16億円の件)。
つまり、細木の人生は「支配と被支配」の繰り返しだったのだ。自らが支配する一方で、他の力(金銭、メディア、女性)に支配されていた。
『地獄に堕ちるわよ』が描くもの
このドラマは、細木数子の「歴代彼氏」や「男性関係」を直接的には描かないかもしれない。しかし、その背後には、細木という女性が「男性をどのように利用し、支配してきたのか」という問題が隠されている。
戸田恵梨香が、17歳から66歳までの細木を演じる際に、この「男性関係の変化」をどのように表現するかが、このドラマの最大の焦点の一つになるだろう。—
